胆嚢破裂と診断した猫のケース

  • 2026.06.29

3日前から元気・食欲喪失、嘔吐という主訴で来院されました。

プロフィール

動物種:猫
品種:MIX(日本猫)
年齢:10歳齢
性別:雌

診察・検査結果

エコー検査では胆のう周囲および胃幽門部周囲の腹膜エコーレベル上昇、総胆管の拡張・蛇行、膵臓左葉エコーレベル上昇、消化管内容物のうっ滞などの所見が認められました。

血液検査結果では特に異常は認められませんでした。   

治療経過

急性で比較的重度な消化器症状を呈していたため、急性膵炎および胆のう炎/胆管肝炎などを疑って通院下で対症療法を行いました。(入院を希望されなかったため、1日1回の皮下点滴通院と注射で治療)

第6病日まで治療を行い、飼い主様の都合もあり、治療は一度中断し、自宅で強制給餌をしていただく形になりました。

第11病日、症状が改善しないとのことで再び通院下で治療を開始。血液検査では白血球の上昇は認められるものの、肝酵素の数値に異常は認められませんでした。

第13病日、エコー検査で胆のう周囲に腹水(胆汁漏出を疑う)が認められたため、試験開腹を提案。

第14病日、試験開腹を実施。

以下、術中の写真です(閲覧注意)

腹腔内の胆汁漏出、臓器癒着、腹膜炎 
胆のうの穿孔部位

開腹すると、胆汁がまわりの組織に漏れ出たことによる胆汁性腹膜炎を引き起こしており、炎症によって病変部は横隔膜、脂肪組織、肝臓などに癒着がおきている状況でした。

重要な組織を傷つけないように剥離しつつ、病変部の胆嚢を露出すると、胆のうの頸部に壊死・穿孔部を認めました。また、総胆管内に結石を認めました。

摘出した胆嚢組織
手術翌日の様子


総胆管内の結石は閉塞はおこしていなかったこと、手術中のバイタルがかなり不安定であったことから、今回は結石の摘出は行わず、胆のう摘出と腹腔洗浄、ドレナージ、食道チューブを留置して手術を終了としました。

術後は入院下で抗生剤、鎮痛薬、輸液管理などを行い、ドレーンからの廃液をモニタリングしました。

術後の胆汁の漏れや胆管閉塞、敗血症などの合併症がないことを確認したため、術後3日目に腹腔ドレーンを抜去、4日目に退院としました。

自宅では皮下補液などの対症療法と食道カテーテルからの給餌を継続し、退院後1週間で抜糸に来院された際には自食できる状態まで回復していました。                     

抜糸後の傷

       

胆嚢の病理結果

潰瘍性および壊死性胆のう炎

猫の胆のう破裂について

猫の胆のう破裂は、胆汁が腹腔内に漏れ出して胆汁性腹膜炎をおこす重篤な疾患です。進行すると敗血症やショックにいたるため、早期診断と外科的な介入が必要になります。

今回の発症の原因としては、胆管内結石が存在していたことから、二次的な胆嚢炎などを引き起こしたためと考えられます。