乳腺がんと診断した犬のケース

  • 2026.04.21

プロフィール

動物種:犬
品種:ポメラニアン
年齢:14歳齢
性別:雌

主訴

胸にしこりがある、という主訴でご相談いただきました。

診察・検査結果

右側第三乳腺に2cm程度の腫瘤が触知されました。

精査・治療のため腫瘤を辺縁切除で摘出し、病理検査に提出。

診断

乳腺単純癌

治療

再度全身麻酔を実施し、CTを使って全身転移の確認を行いました。

腫瘤の拡大切除・転移/再発リスクの減少を目的として、右側乳腺の全摘出とリンパ節郭清(腋窩、鼠径リンパ節)を行いました。

腋窩・鼠径リンパ節は肉眼・CTどちらでも腫れは認められませんでした。

↓ 以下、術中の写真です(閲覧注意)

乳腺切除、血管の処理 
縫合後
摘出したリンパ節(画像は腋窩リンパ節)
摘出した右側乳腺

乳腺の範囲が広いため、全摘出となるとどうしても傷口は大きくなってしまいますが、小型犬や猫の場合は1時間程度の手術時間で終了します。

術後は腫れや浮腫、痛みの軽減を目的として2〜3日包帯を巻いて入院下で経過をみます。

痛みの程度はかなり大きい手術のため、この期間は疼痛管理を強めに行います。

手術翌日
痛み止めの効果もあり、翌日から元気に動いています

病理結果


右側乳腺は完全摘出、腋窩リンパ節・鼠径リンパ節に転移を伴う。

乳腺腫瘤の治療について(犬の乳腺癌の場合)

現在の一般的な乳腺癌の治療としては、腫瘍に対して十分なマージン(腫瘍周囲の正常組織の余白部分)を取って切除されていれば、術式による生存期間に大きな差はないといわれています。

一般的な拡大切除の術式としては、「領域切除」、「片側全摘」などの術式が挙げられます。

今回の症例では第三乳腺(乳腺のちょうど真ん中の当たり)に発生した腫瘤であることから片側全摘を選択しました。

残念ながら今回は転移ありという結果になってしまったため、今後肺などへの転移は注意が必要な状態になります。

転移の可能性のある症例に対して術後の補助療法として抗がん剤などを使用するケースもありますが、今回は飼い主様の希望もあり、そのまま様子を見ていくことになりました。